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新型コロナワクチン最新情報


一般向け接種もスタート

政府のまとめによると、6月21日時点の国内の接種回数は3292万2292回。このうち、高齢者を含む一般の人は2291万1274回(うち2回目は531万9911回)、医療従事者は1001万1018回(うち2回目は444万3865回は2回目)となっています。全体の接種回数は、1週間前(6月14日)から788万回増えました。英オクスフォード大の統計情報サイト「Our World in Data」によると、日本で少なくとも1回のワクチン接種を受けた人は人口の18.3%、2回のワクチン接種を完了した人は7.7%です(いずれも6月21日時点)。
厚生労働省によると、2月から接種が行われているファイザー製ワクチンでは、メーカーからの副反応疑い報告で5月30日までにアナフィラキシーとして報告された事例は1157件。このうち、国際分類に照らしてアナフィラキシーに該当すると判断されたのは169件で、接種100万回あたりの発生件数は13件です。疑い例も含め、ほとんどの症例が治療により軽快・回復しています。5月下旬から接種が行われているモデルナ製ワクチンも、安全上の重大な懸念は認められていません。

希望者全員 10~11月に接種完了目指す
政府はワクチン接種の優先順位を、(1)医療従事者=約500万人(2)65歳以上の高齢者=約3600万人(3)高齢者以外で基礎疾患のある人=約1030万人・高齢者施設などの職員=約200万人(4)12歳以上の一般の人――と定めています。高齢者向けの接種は全国のすべての市区町村で7月末までに終了する見込みで、政府は希望する全国民への接種を10月から11月にかけて完了させることを目指しています。
ファイザー製ワクチンは、6月末までに1億回分が供給される予定。モデルナのワクチンも、4000万回分が6月末までに供給されることになっています。ワクチンの確保にメドがついたことで、12~64歳の一般向けの接種も本格化しており、6月21日からは企業や大学などでの職域接種がスタート。職域接種には同日時点で3795会場の申請があり、接種予定人数は約1464万人に上っています。

3種類のワクチンが承認

日本政府が確保しているワクチンは、ファイザー製が1億9400万回分(9700万人分)、モデルナ製が5000万回分(2500万人分)、英アストラゼネカ製が1億2000万回分(6000万人分)。ファイザー製は今年2月、モデルナ製とアストラゼネカ製は今年5月に承認され、国内では現在、3種類の新型コロナワクチンが使用可能となっています。

ただし、アストラゼネカのワクチンは、海外で接種後に血栓を発症したケースが報告されていることから、当面は公的接種には使用しない方針。政府は、確保した同社ワクチンのうち124万回分を台湾に提供したほか、東南アジア5カ国にも提供することにしています。

国産は4社が臨床試験
国内ではこのほか、今年2月に米国で緊急使用許可が認められたジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクターワクチンが5月に承認申請。武田は、米ノババックスが開発した組換えタンパクワクチンの臨床試験を2月から行っており、今年後半の供給開始を目指しています。

日本企業では、アンジェスがDNAワクチンの臨床第2/3相(P2/3)試験を行っていて、塩野義製薬は組換えタンパクワクチンのP1/2試験を実施中。KMバイオロジクスと第一三共も3月からP1/2試験を行っています。

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ワクチンの開発は感染状況にも左右され、有効なワクチンの接種が始まれば、特に遅れをとっている日本勢は大規模な臨床試験を行うのが難しくなる可能性があります。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は昨年9月に発表した指針で、海外で発症予防効果が確認されたワクチンと比較することで有効性を評価できる可能性に言及。海外での大規模臨床試験の実施も視野に入れる必要があり、国産ワクチンの実用化はまだはっきりと見通すことはできません。

生産体制を整備
開発と並行して、生産体制の整備も進められています。政府は2020年度の第2次補正予算に、生産設備などの費用を補助する「ワクチン生産体制等緊急整備基金」として1377億円を計上。昨年の第1次公募では、▽アストラゼネカアンジェス塩野義製薬▽KMバイオロジクス▽第一三共武田薬品工業――の6社に総額900億円あまりが助成されました。

日本勢で開発が先行するアンジェスは、タカラバイオなどの参画を得て生産体制を構築。塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、21年度末までに年間3500万人分の生産体制を整備することを目指しています。23年度の実用化を目指しているKMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスから技術移転を受けて国内生産することになっており、年間2億5000万回分以上の生産能力を構築するとしています。

アストラゼネカは、日本向けのワクチンの多くを国内で製造する方針。ワクチン原液をJCRファーマが製造し、国内での製剤化や流通は、第一三共第一三共バイオテック、MeijiSeikaファルマ、KMバイオロジクス、ニプロファーマが担います。

1日の接種回数80万回まで拡大

新型コロナウイルワクチンの接種は、予防接種法に基づく「臨時接種」の特例として、国の指示の下、都道府県が協力し、市区町村が主体となって実施。接種費用は国が全額負担し、接種は原則として住民票のある市区町村で受けることになります。接種の期間は来年2月末まで。接種対象者には、市区町村から接種券(クーポン券)が送付され、対象者は電話やインターネットで希望する医療機関・接種会場を予約します。

1日あたりの接種回数は、政府が掲げる「100万回」に近い水準まで拡大してきました。最大の懸念だった打ち手の確保では、労働者派遣法でへき地以外では原則禁止されている医療機関への看護師の派遣を、新型コロナワクチン接種に限って容認。歯科医師臨床検査技師らにによる接種も認めています。

さらに政府は、自衛隊を活用して東京と大阪に大規模な接種会場を設置。いずれも5月24日から3カ月間の予定で運用を始めました。東京では1日1万人、大阪では1日5000人の接種を見込んでいます。大規模接種センターはこれまで、近隣の府県を含む65歳以上が対象でしたが、6月17日からは全国の64歳以下の人も接種できるようになります。

自治体が独自に大規模接種会場を設ける動きもあり、愛知や宮城などではすでに運用が始まりました。企業や大学での職域接種を含め、選択肢を増やすことで接種の拡大を狙います。

出典