党首討論2021 VS 立憲民主党
総理、お疲れさまでございます。
今年は1月20日に東京で緊急事態宣言が発令され3月21日まで約2カ月半続きました。わずか3週間でまん延防止等重点措置となり、さらに1週間で3度目の緊急事態を出さざるを得なくなってしまいました。6月20日まで数えると約2カ月です。今年に入って法令に基づく自粛などの要請が出されていなかったのは、わずか3週間、21日間。やはり3月に解除が早すぎたのではないかと私は思わざるを得ません。もし次、4度目のリバウンド、5度目の第5波ということになれば、本当に事業者の皆さん中心に耐えられない方がますます出てきてしまうと思います。
私はリバウンドを防ぐためには十分なセットが、補償がセットでなければなりませんけれども、東京で1日当たりの新規感染者が50人程度になるまでは苦しくても我慢しなければならないと、リバウンドしてまた1カ月ほどで緊急事態などということを考えれば、それが適切な判断ではないかというふうに思います。
総理、第5波は絶対に防がなければなりません。ぜひ同じ失敗を繰り返さないために、3月の解除が早すぎたということの反省を明確にした上で、同じ間違いをしないために、私たちのような厳しい基準を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
政府としてこの緊急事態宣言やまん延防止等、この措置を講じるについて、専門家の先生方の委員会にかけて決定をするわけであります。そうした中で、結果としては今、枝野代表が言われたとおりになっているわけですけれども、この新型コロナというのは世界どこでも、ロックダウンをやった国でも簡単に収まってないことも事実じゃないでしょうか。せっかくの機会でありますから、私自身のこの新型コロナに対しての考え方を明快に述べさせていただきたいと思います。
国民の皆さんが一番心配しているのは、やはり病床の逼迫状況、そこに陥ることだろうというふうに思っています。今、申し上げましたけど、世界のさまざまな国でロックダウンを行ってきました。新型コロナ対策。まさに外出を禁止する、そういう厳しい措置の行ってきた国々でも、結果として収束させることはできなかったんです。そしてワクチンを接種することによって、今、大きな成果を上げていることが事実であります。ですから政府としてはなんといってもワクチンの接種に全力を挙げて取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
日本は国内治験ということで世界から見れば3カ月遅れています。これは野党の皆さんからも強い要望がありました。そういう中で国内治験をやったということを、なおかつ3カ月遅れているわけですけれども、しかし国民の皆さんの接種に必要なワクチンはすでに確保しています。ワクチン接種を全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
まさにワクチン接種こそが切り札だというふうに思っております。現在、全国の自治体や、さらには医療関係者の皆さんの大変なご努力によってワクチン接種が順調に進んでいます。きのうは100万回を超えてきました。まさに一定の方向を示すと日本の国民の皆さんの能力の高さ、こうしたものを私自身、今、誇りに感じております。
きのうまでで合計約2000万回に近くなっています。重症化しやすい高齢者の皆さんは7月中には接種完了する、1700を超える日本の市町村の中で、98%が7月いっぱいで終えられる、そうした報告を受けております。そして重症化しやすい高齢者の皆さんは、7月いっぱいで終えるという方が大部分ですけども、現場の逼迫というのはそうしたことによって大幅に改善をされると思います。また、この21日からは職場や大学で産業医の皆さんを中心に集団接種が始まります。少なくとも今月末には4000万回は超えることができるというふうに思っています。そしてまたそうした体制を維持することによって、今年の10月から11月にかけては必要な国民、希望する方全てを終える、そうしたことも実現したいというふうに思います。
いずれにしろ感染対策というのは、このワクチンが出てから大きく変わったというふうに思っていますので、私自身陣頭に立ってワクチン接種に全力を挙げて取り組んで、この感染拡大を食い止めていきたい、このように思います。
ワクチン接種は大変重要ですし、政府を挙げて頑張っておられることについてはぜひさらに進めていただきたいというふうに思います。ただ、世界中全て、この感染対応うまくいかなかったわけではありません。予算委員会などでも何度か申し上げてきましたが、ニュージーランド、オーストラリア、そして台湾。台湾は最近になって一度、外から来られた方がたった1人、ルール違反があったということで100人規模の感染を生じさせましたが、ひと月ほどでしっかりと抑え込んでいます。こうした成功している国もあります。
そして今、政府が進めておられるワクチン対策が、もし想定どおり進んでいったとしても、いわゆる集団免疫ができる状況というのがやはり秋になっていかざるを得ない。そうすると例えば今、出ている緊急事態宣言、どこかで解除する。このあと申し上げる、もしオリンピックを強行するということであれば、やはり第5波というものに備えなければならない。それを防がなければならない。第5波で命を落とす人、あるいはそれによって緊急事態宣言などが出されて、ご商売が成り立たなくなる方、生活が成り立たなくなる方、そうしたことをしっかり考えながら、どう手を打っていくのかということが求められていると思っています。
一度、東京で50人レベルぐらいまで落とせば、1年前と比べれば保健所などの感染ルートを追い掛ける、PCR検査などの能力も非常に高まっていますので、ニュージーランドやオーストラリアのように感染ルートをすぐに把握をして、非常に狭いエリアで、短期間の封じ込めで感染を抑え込むということは十分に可能だというふうに私は思っています。
それではオリンピックに関連してお尋ねしたいと思います。総理は月曜日の参議院決算委員会で、国民の命と健康を守るのは自分の責任で、それがオリンピック開催の前提条件である。その前提が崩れたら行わないとおっしゃられました。大変勇気ある、しかし当然のご発言だというふうに思います。国民の命と健康という観点から私は最大のリスクは、開催を契機として国内で感染拡大を招くということだと思っています。総理の言う、国民の命と健康を守るとおっしゃるのは、大会参加者などによる直接的な感染拡大だけではなくて、当然のことながら、開催を契機として国内で感染が広がる。それが国民の命と健康を脅かすような事態は招かないと。こういうことも含むという意味でよろしいですね。確認させてください。
私、枝野代表からゼロコロナというのを何回か聞いたことがあります。ゼロコロナ戦略というのは、要は無症状の方も含めて検査を実施して感染者を徹底して探すということになるわけでありますけど、本党では特措法の私権制限強化に、これ非常に慎重な立場でした。国民の皆さんにどうやって検査をしてもらうか、強制的な検査を受けてもらうのか。ここは1回、ぜひ私も伺ってみたいというふうに思っていました。
また、欧米諸国では検査を徹底しても感染拡大は止まらなかった。強制的に検査を行うことができない中でどうされるのか。そして同時に、何回となくオーストラリア、ニュージーランド、台湾、こうしたことを例に出されますけども、この3国というのは罰金や懲役による強い私権制限を行っているところです。そしてオーストラリア、またこうした国、特にオーストラリアについては人口密度が非常に少なく、日本の100分の1であります。そうした中と、私、そうしたその強い私権制限のできるところと比較することはいかがなものかなというふうに思います。
それと私自身、オリンピックについても私の考え方をぜひ説明させていただきたいと思います。東京大会は感染対策、水際対策、これを徹底して安全・安心なものにしなきゃならないと思います。海外から来る選手をはじめ大会関係者、これ、当初18万人といわれたんですけど半分以下に絞ります。それをさらに縮小する方向で今、検討しています。また、選手など8割以上はワクチンを接種して参加するということを、報告を受けています。入国前に2回、入国時に1回、そしてその後に3回、徹底して検査をし、選手については期間中も毎日行う。その予定であります。
安全・安心の大会にしたい
また、海外メディアなどは組織委員会が管理するホテルにこれ集約をします。日本国民と接触することがないようにGPSを使って行動管理をし、検査もこれ、しっかり行います。また、事前に計画書を出させますから、登録をさせて、違反した場合は強制退去させます。この5月だけでも4回、テスト大会っていうものをやっています。感染対策を含めて、いろんな準備をして、1つ1つこうした対応を行っております。まさに安全・安心の大会にしたいというふうに思います。
それとよく、私にこれオリンピックについて聞かれるわけですけども、実は私自身、57年前の東京オリンピック大会、高校生でしたけども、いまだに鮮明に記憶しています。それは例を挙げますと例えば東洋の魔女といわれたバレーの選手。回転レシーブっていうのがありました。ボールに食いつくようにボールを拾って得点を挙げておりました。非常に印象に残っています。また、底知れない人間の能力というものを感じました、あのマラソンのアベベ選手も非常に印象に残っています。
そして何よりも私自身、記憶に残っていますのは、オランダのヘーシンク選手です。日本柔道が国際社会の中で、大会で初めて負けた試合でしたけども、悔しかったですけども、その後の対応、すごく印象に残っています。興奮したオランダの役員の人たちがヘーシンクに抱きついてくるのを制して、敗者である神永選手に対して敬意を払った、あの瞬間というのは私はずっと忘れることができなかったんです。そうしたことを子供たちにもやはり見てほしい。
さらに当時、パラリンピックが初めてパラリンピックと名前を付けて行った大会です。パラリンピック、障害者の皆さんには、まさに障害者スポーツに光が当たったのがあの日本の大会であります。そしてこのことを契機に、障害者の皆さんが社会進出を試みたい、まさに共生社会を実現するための1つの大きな契機になったというふうに思います。
こうした素晴らしい大会をぜひ、今の子供や若者、見て、希望や勇気を与え、伝えたい。さらに心のバリアフリー、こうしたものもしっかり私は、大きな学習にもなるのではないかなというふうに思います。そして、こうした様子をテレビで40億の人が見るということもいわれています。東日本大震災から復興した、そうした姿というものもぜひ見てほしいというふうに思います。世界が新型コロナという大きな困難に立ち向かい、世界が団結してこれを乗り越えることができた、そうしたこともやはり世界に日本から発信をしたい。そうした思いであります。
そして先ほど、観戦の話をされました。このことについては、まさにこのIOC、IPC、そして組織委員会、東京都、国との中で、国内基準の中で合った形で方向性を6月中に決める。そういう方向になっています。そういう中で、そうしたことは十分配慮される、このように思います。
2年ぶりの党首討論ということで、多くの国民の皆さんが、特に感染症から、そしてオリンピックを開催して、命と暮らしを守れるのかどうか、注目されています。総理の後段のお話はここにはふさわしくないお話だったんではないかと言わざるを得ません。私たちは、例えば検査の対象は、私は場合によっては政令でも拡大できる話だと思いますし、100%しないとニュージーランドやオーストラリアのようなことができないのかというと、必ずしもそうではありません。徹底して1人の感染者の周辺を検査するということ自体、アプローチしてこなかったというのは間違いありません。
それからよく私権制限の話をされるんですが、私たちは別に私権制限に否定的ではありません。ただ、きちっとした補償がなければ、それは私権制限されて首をつらなければならない、そんな状況に国民を追い込んではいけない。だから補償とセットでなければならないと。私たちはずっと言い続けています。
もう1点だけ申し上げます。確かにロックダウンをした。そういう国、ロックダウンの効果はあったけれども、でもリバウンドしている。リバウンドしている国とニュージーランドやオーストラリア、台湾との違いは、どこまで我慢したかなんです。やっぱり早く解除をしたら、どんなに強い抑制をしてもリバウンドは生じている。
失われた命に、政治は責任を取れない
そして、日本は他国のような強い強制措置を持っていなくても、例えば緊急事態宣言などを出したことによって、感染がどれぐらいのスピードで減っていっているのかというのは、この1年、他国と比べてみても、強いロックダウン措置を取った国と比べて、決して見劣りしないスピードで落ちてきています。つまりそれだけ国民の皆さんは協力をしてくださっているんです。そうした国民の皆さんの努力をリバウンドによってすぐにまた緊急事態宣言を出すということによって無にしてはいけないということを私は申し上げているんです。
そして私のお尋ねには、なかなか正面から答えていただけませんでしたが、私はオリンピックに関連してなんとか選手やコーチの皆さんについては頑張られるんだと思います。ただ、例えば、これはオリンピックがもし開催されて、世界中から東京に人が集まる、日本中から人が集まる。そして夜遅くまでテレビで生中継されている。そういう状況のときに例えば感染が広がって、不要不急の外出を抑えてください。夜は飲食店をやめてください。あるいは営業をもう休業してください。こうしたことをお願いできますか。そしてお願いしたとしても説得力はありますか。
残念ながら、もしリバウンドの兆候が見えても、強い措置を取ってもなかなか国民の皆さんの理解が得られないという状況が、前後合わせると2カ月続くんです。夏休みとも重なります。東京で約半年にわたって事実上ずっとみんな我慢をしてきた。どこかで解除したら緩みは必ず出ます。それによって、急激な第5波でまた医療逼迫、それがオリンピックや、あるいは特に後半にあるパラリンピックに重なったら、どうなるんだと。
そういうことを考えたら、私は前回の東京オリンピックは、私の生まれた年です。だから私は見た経験はありません。でも生まれたときから、子供のころからオリンピックの年の生まれだね、言われてきたし言ってもきたし、それなりに思い入れがあるつもりですし、選手の努力を考えたら私もぜひ開催したいと思います。でも今日の総理のお答えを聞いたのでは、今のようなリスクも含めて本当に命と暮らしを守れるのか。命を失われたら取り返しがつかないんです。失われた命には、政治は責任を取れないんです。そのことについてのご認識が十分ではないのではないかと、残念ながら言わざるを得ません。
補正予算についてお尋ねしたいと思います。現在の予算は12月に編成されて、この半年間の状況は想定されていません。政府の現在の事業支援や生活支援は対象の限定された支援策がつぎはぎされたパッチワークのようになっています。それぞれの支援策にさまざま複雑な条件が付され、手続きに大変な手間と時間が掛かっています。このつぎはぎの隙間から必要な支援がこぼれ落ち、届いていない方がたくさんいらっしゃいます。
私は本来であれば事業支援、生活支援、そして医療支援、それぞれごとに、もっと包括的な、網羅的な支援策の枠組みをつくって、パッチワークではなくて、抜本的な組み替えをして、簡易な手続きで困窮されている方のところに支援が届くようなそういったものに強化をしなければならないと思っています。
ただ、そういった抜本的な措置をするには時間が掛かります。まずは私たちは繰り返し、持続化給付金の再給付、約8兆円掛かります。雇用調整助成金の特例延長、生活困窮者に対する特別給付金、医療機関や医療従事者に対する追加支援、こうしたことを具体的に提案をしてきています。政府・与党は補正を組まず、また秋まで国会を閉じると伝えられています。これではどんなに早くても補正を組んでそれが困っている方に届くのは年末になります。
残りの予備費だけで、事業の継続や国民の生活、特にパッチワークからこぼれ落ちてらっしゃる皆さんたちを支えることはとうてい私は不可能だと思います。30兆円規模の補正予算を速やかに編成させるべきだというふうに考えます。総理、お尋ねは、今、支援の手からこぼれ落ちている、そのつぎはぎの隙間から落ちて、支援が届かない皆さんに対するメッセージをこの場で届けてください。
まず、補正予算についてのお話であります。新型コロナの影響が長引く中で、わが国の失業率は先進国で最も低い状況です。倒産件数も低い水準にあります。しかしながら飲食や宿泊、こうした事業、非正規の雇用者、多くの方々が引き続き極めて厳しい状況にあることは認識をしております。まずこうした影響を受けておられる方をしっかり支援することが大事だというふうに思います。国民の皆さんの雇用と事業を守る、このことが私どもにとっても極めて大事なことだというふうに思っています。
その中で多くの事業者にとっての資金繰り、無担保・無利子のこの資金の支援や、ご承知のように雇用調整助成金、これも延長しました。これによって人件費の支援、また、飲食店の協力金に加えて医療機関への支援などを行っています。こうした支援をしっかり行っていく。これと同時に昨年の暮れに経済全体を下支えをしている、そのために74兆円の経済対策を発表し、策定をいたしました。第3次補正予算もご協力いただいて、今国会で成立をさせました。
この補正予算や新型コロナの予備費、こうしたことを含めて、実は今年度への繰り越している金額がおよそ30兆円あります。これを執行して、まずは全力で支援をしていきたい、このように思います。さらに今年度の新型コロナの予備費も4兆円あります。今後も必要に応じてこうしたものを活用して対策を講じていきたいと思います。1日も早く感染を収束させるのが、これが最大の景気対策だと思っています。感染対策、ワクチン接種の、二正面の作戦をしっかり行っていきたいというふうに思います。
そうした中でわが国の実質GDPについて、OECDでは年内に新型コロナ前の水準に回復する見通しだと、つい先般発表されています。今後も景気の動向に最大限の注意を払い、必要な対策は臆せずしっかり行っていきたい、このように思います。
今、総理がおっしゃられたような支援策が現実に届いてない方からの悲鳴が総理のところには届いてないんですか。もうこの1年、そうした声が本当にいろんなところから届いていますよ。われわれも気付いていない声がたくさんあって、われわれもまだまだ現場を知らないと反省する日々です。残念ながらそうした皆さんに対するメッセージになっていませんでした。
補正予算を国会でちゃんと議論していくことを加えて、今後、感染症対策のため新たな立法が緊急に必要になる場合も想定されます。1月の特別措置法改正のときのように、われわれは必要があれば全面的に協力する用意があります。でも国会が閉じていたら協力のしようがありません。今日も明確なお答えいただけなかった緊急事態宣言の解除、オリンピック・パラリンピックの対応、さらにはワクチン接種、さらに本当に計画どおりいくのかどうかなど、日々変化していく事態に、国会における国民に開かれた議論の必要性は高まっています。
加えて、与野党間で内容的には合意されている、いわゆるLGBT法案もあります。オリンピック憲章にかなうためにも、今国会中の成立が求められています。多くの皆さんが期待されています。国会の閉会を言い訳に先送りするべきではないと私は強く思います。
総理、まさに国会を閉じるというのは政治空白ですよ。国会を大幅延長して、その国会の機能を十分に発揮させ、国会を挙げて新型コロナウイルス感染症という国家の危機に立ち向かいましょうよ。私たちは協力できるところは協力してきているつもりですし、これからますますいたします。これは国会としての使命だと思います。国会延長を決断できるのは最大与党の党首である総理だけです。延長して、国会として国民の期待に応えようじゃありませんか。いかがですか。
国会のことは従来どおり国会で決めていただきたいというふうに思います。そういう中で今、残っている法案、国会に提出した法案をぜひ会期内に成立をさせる、それが政府の今の立場であります。
私は東日本大震災と原発事故のあった2011年の通常国会、菅総理の下で70日間という長期延長をして、野党・自民党の意見も伺いながら対応に当たりました。大変貴重なご意見をさまざまいただきながら進めることができました。仮に解散総選挙をしても、1カ月半ほどで国会は開きます。でも今、国会を閉じて、巷間言われているように、パラリンピック後まで国会を開かないということは、その2倍以上の政治空白をつくることなんだということを申し上げておきたいというふうに思っています。
最後に申し上げたいと思います。私は昨年3月4日の与野党党首会談の際に、当時の安倍総理に提案して以来、国会論戦などを通じて繰り返し行政の司令塔を明確にするよう要請してきました。残念ながら今なお、厚労大臣と西村担当大臣、さらにはワクチン担当大臣まで加わって、官房長官を含めて司令塔がますますはっきりしない状況です。生活支援や事業支援も各省ばらばらで、リーダーシップや総合調整機能が発揮されない。その結果としてGo Toキャンペーンのように、趣旨は分かりますが、感染状況とずれた対応策が取られたり、先ほど申したとおり、つぎはぎだらけで隙間からこぼれ落ちてしまっている人たちがたくさんいる不十分で使い勝手の悪い支援策、さまざまな弊害をもたらして、感染症対策を迷走させてきた原因は、その1つはここにあると思っています。
私は東日本大震災と原発事故の記憶も踏まえ、総理大臣、官房長官、厚生労働大臣、このラインを明確にすること。省庁にまたがる問題は官房長官と内閣官房こそが本来その調整の権限も能力も持っているんです。ここが責任を持って迅速に総合調整できる強力な司令塔を構築します。各省や自治体が最大限の力を発揮できるよう、ミッションを明確にするとともに、政府からの主要な発信を総理と官房長官に集約して、あっちの大臣とこっちの大臣で違うことを言っててなんなんだと、何度もわれわれはそういうことを経験しました。そういうことを最小限に抑えます。
より多様な声が反映されるように、専門家会議を整理、再編して、その役割、権限を明確にします。何よりもまず専門家会議の結論、議論を伺った上で方針を立てる。基本的な方針が固まってから専門家会議にご意見伺うとは順序が逆だと私は思います。そこを転換します。
このように私には危機を乗り切るために、そして命と暮らしを守るために機能する行政を取り戻し、そのためのビジョンと準備があります。今、日本は戦後最大の危機にあります。今日の討論でも残念ながら総理に、私や、おそらくテレビを見ている多くの皆さん方、ああ、これなら安心だと、オリンピックも大丈夫だろう、これなら秋以降安心して暮らせる、次のリバウンドはない、そうしたメッセージにはなってなかったと受け止めざるを得ません。そもそも危機感や責任感を感じられなかったのは大変残念であります。
命と暮らしを守り、危機を乗り切るために機能する政府を取り戻すためには、政権を代わるしかないとあらためて確信をいたしました。その準備をさらに整えて、1日も早く命と暮らしを守る機能する政府を取り戻すことができるよう、さらに努力する決意であることを申し上げ、討論を終わります。ありがとうございます。